村松康司先生最終講義が開催されました
2月7日、工学研究科応用化学専攻教授 村松康司先生の最終講義が姫路工学キャンパスA棟1階102室で開催されました。村松先生は、2005年に工学研究科教授として着任されてより、20年間本学の放射光を利用した分析化学の分野で研究と教育にご尽力を尽くされています。最終講義のタイトルは『放射光軟X線分光分析研究40年』。教員と学生合わせて70名が出席しました。
1984年に東北大学理学研究科博士前期課程を修了され、日本電子電話公社(NTT)電気電信研究所に入所されました。アモルファスシリコン太陽電池のプラズマ診断を行われていましたが、「多くの人がやっていることをやっても面白くない」とフォトンファクトリーチームに加わり、放射光軟X線を利用した軽元素の高輝度蛍光X線研究を始められます。軽元素の蛍光X線は極めて弱いことが課題でしたが、先生は優れた分光器をいくつも開発され、その世界最先端の研究に関して学位を取得されています。36歳の時に1年間渡米されて炭素材料の分析研究を始められました。帰国後、真の放射光研究者として生きてゆくことを選ばれた先生は、40歳でNTTを退職され、日本原子力研究所の放射光科学研究センター研究員としてSPring-8で研鑽を積まれました。後に放射光軟X線分析技術開拓と普及のために本学に着任され、NewSUBARUを利用したたくさんの研究を展開されています。先生が分析された題材は多岐にわたり、ホウ素注入ダイヤモンドのバンドギャップ構造の解析、姫路城いぶし瓦の劣化評価、エンジンオイルの劣化分析などで企業や自治体との共同研究をされています。また絶縁性膜試料に対して、導電性基板密着法などの測定法の開発も行われました。
先生が活躍されている場は幅広く、学内では先生がトレーニングとしてランニングされているお姿をよく見かけます。小学校時代の目標は科学者とスポーツマン。学生時代はバスケ部で活躍され、本学ではワンダーフォーゲル部顧問としても活躍されています。「文武両道はあたりまえ、文武遊友裕やって一人前」が口癖の先生は、数々のマラソンやランニングレースに出場されて大変な記録を残されています。また、学生教育と自身の鍛錬・楽しみとして、たくさんのイベントを設計されました。その一つがGoEASTです。姫路城を出発し、自分の脚を頼りに国道2号線に沿って東に進むイベントです。私もお誘いを受けて参加し、目的地のJR明石駅になんとか到着することができました。不安な気持ちもありましたが、やってみると面白く、達成感が得られました。先生からご指導を受けた方々はきっとたくさんの「面白い」や「達成感」を頂いたことと思います。
「多くの人がやっていることはやらない」「私の辞書に疲れたと忙しいはない。」「トンデモナイ人だと言われるようになれ。」など数々の名言を残されました。最後に奥様へ深い感謝の気持ちを語られて講義を終えられました。
最終講義の資料は以下のURLに掲載されています。
https://www.eng.u-hyogo.ac.jp/msc/murama/index.html


